都知事の力

解決する力

猪瀬直樹東京都知事が、徳洲会グループから5000万円を受け取った問題で都議会は紛糾。進退問題にまで及んでいます。

そんな猪瀬直樹さんの最新刊『勝ち抜く力』(PHPビジネス新書)が12月18日頃、発売される予定です。内容は、副題「なぜチームニッポンは五輪を招致できたのか」のとおり、オリンピックの招致活動を振り返り、成功した要因を披露したもの。

長年、書店で働いていると、実にタイミング良く出版される新刊と、逆にタイミングが著しく悪い不運な新刊があります。本書はどちらに属するか言うまでもありません・・・。
ちなみに、猪瀬さんの著書には『決断する力』『解決する力』というものもあります。

来週も質疑は続きます。猪瀬知事、はたして何を決断し、どのように解決するでしょうか。


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佐藤さんの災難

リアル鬼ごっこ

明治安田生命保険の契約者による全国名字調査によると、日本で最も多い名字は「佐藤」さんで、2位が「鈴木」さんだそうです。子どもの頃、日本で一番多い名字は「鈴木」さんだと聞いて、自分のまわりに一人もいないので不思議に思ったものです。東日本に多いのですね。

さて、10代後半を中心とした若い層に圧倒的な人気を誇る山田悠介さんのデビュー作が『リアル鬼ごっこ』。
2001年、文芸社から自費出版本として刊行されたこの作品は発行部数100万部を超える話題作となりました。その後、改訂版として幻冬舎から文庫化され、2008年には映画にもなりました。以降、根強い支持を受け、発表する作品はすべてベストセラーとなっています。

その『リアル鬼ごっこ』のストーリーはというと…。

全国500万の「佐藤」姓を皆殺しにせよ!
西暦3000年、国王はある日突然、7日間にわたる大量虐殺を決行し、全国の佐藤さんはその姓を隠し逃げ惑う生活を余儀なくされるのです。

その奇抜な発想とスピーディな展開が、若い読者を夢中にさせました。
全国一多い名字だからこそのストーリーですが、佐藤さんには甚だ迷惑なお話です。

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女性は目標にしたい同性の本を買う

EPISODE 1

モデルでタレントの紗栄子さんがセミヌードを披露する初めての写真集が12月24日頃、発売される。
初版11万部とは発行元の宝島社もえらい力の入れよう。果たしてそんなに売れるのかとやや不安になる。
そして、よくよく考えると紗栄子さんは男性よりも女性に人気があるのだということを思い出した。

調べてみると、今年4月に刊行された『Saeko Snap!』は、購買者の95%が女性。そしてその半分が20代だった。
ここまでくると売れる売れないは男性目線だけではなかなか判断できない。

『清原亜希 MY STYLE』(集英社)、『Love myself・梨花』(宝島社)、『大草直子のStyle Book』(ワニブックス)など、女性には、同性の人の生き方、ライフスタイル、ファッションに共感し本を買う傾向がある。

女性特有ではないだろうか。

注目を浴びる現代版「蟹工船」

工場

第30回織田作之助賞の選考会が、12月10日に開かれ、受賞作に小山田浩子さんの『工場』(新潮社)が選ばれました。

小山田さんは、2010年、同作で第42回新潮新人賞を受賞、作家デビューを果たしました。
初の単行本『工場』が第26回三島由起夫賞にノミネートされ、受賞は逃しましたが、選考委員、町田康さんに絶賛されます。

『工場』は、「工場」と「ディスカス忌」「いこぼれのむし」の3編を収録。表題作は、何を作っているのかわからない、巨大な工場での日々を三人の従業員の視点で語られています。

小山田さんは広島県出身、在住。
かつて派遣社員としてマツダの工場で働いていたことがあり、『工場』のモデルはマツダの工場です。


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忘れてしまいたいことや、忘れてはいけないことや

酔って記憶をなくします

今年の忘年会の予約は出足好調というニュースが報じられました。
景気回復の期待感が高まって、どうせなら豪勢にという気持ちにもなるようです。誰が名づけたか、これぞ「アベ飲みクス」効果。

というわけで、この時期、街じゅうに酔っ払いが溢れかえります。


酔っ払いとは奇跡を起こす生き物。
電車を乗り過ごすとかモノの失くすとかは、まだまだ序の口。上司のハゲ頭に柏手を打って拝む。交番のお巡りさんにプロポーズをする。居酒屋のトイレで三点倒立の練習をする。ホームレスと日本の未来について語り合う…。
そんな失敗談や武勇伝の数々をまとめたのが、『酔って記憶をなくします』という一冊です。
飲み過ぎは失敗のもとと誰もがわかっているはずなのに、人間とは愛すべき愚かな生き物。酒の上での失敗はけして後を絶ちません。
それが証拠に、『ますます酔って記憶をなくします』という名の続編も刊行されているのですから。

本・コミック: 酔って記憶をなくします/石原たきび:オンライン書店Honya Club com

2年連続・年間ベスト1に輝いた驚異のベストセラー

聞く力

年間売上ランキング【書籍総合】を発表します。
2012年12月〜2013年11月までの期間の啓文社全店の売上冊数を集計したものです。
第1位に輝いたのは、なんと昨年第1位の『聞く力』でした。



第1位『聞く力』(阿川佐和子・文春新書)
第2位『医者に殺されない47の心得』(近藤誠・アスコム
第3位『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子・幻冬舎
第4位『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹文藝春秋
第5位『海賊とよばれた男 上』(百田尚樹講談社
第6位『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤ダイヤモンド社
第7位『海賊とよばれた男 下』(百田尚樹講談社
第8位『人間にとって成熟とは何か』(曽野綾子幻冬舎新書
第9位『できる大人のモノの言い方大全』(話題の達人倶楽部・青春出版社
第10位『料理のきほん練習帳』(小田真規子・高橋書店

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青山はなぜ絶妙のタイミングで佐藤の動きにあわせパスを出せるのか

小さくても、勝てる。

J1最終節。サンフレッチェ広島が鹿島アントラースに快勝し、前節まで首位だった横浜F・マリノス川崎フロンターレに敗れたため、勝ち点で逆転し2年連続の制覇を決めました。
横浜F・マリノスは過去に何度も優勝していますが、中村俊輔選手はリーグ制覇の経験がありません。それだけに、優勝への思いが強かったはずです。

サンフレッチェ広島のキャプテンであり、エースストライカ佐藤寿人選手の著書『小さくても、勝てる。』に、こんなエピソードがあります。

2007年、日本代表の欧州遠征の時、佐藤寿人選手は、中村俊輔選手から呼び止められ、こう言われました。
「お前は動き出すタイミングをパスの出し手に合わせすぎている。もっと自分の動きたいタイミングで動き出していい。FWからプレーを発信するんだ。
オレの動きを見てからお前が動いたのでは、もっとレベルの高い相手と対戦したときには読まれてしまうし、止められてしまう。だから、ヒサのほしいタイミングで動き出してくれていい。そこにオレがパスを通すから」
この言葉は、佐藤寿人選手の心にずしりと響き、サンフレッチェ広島に戻ると、すぐにこの話を青山敏弘選手に伝えました。

今シーズン、佐藤寿人選手に最も多く球を供給したのは、他ならぬ青山敏弘選手。
ある意味、二人は中村俊輔選手に恩返しができたのかもしれませんね。

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